この日はいよいよ全員集まっての本格的なリハーサル。この一日だけですべてをまとめなければいけないとっても大事な日。
ところが、ここ1、2週間ライブの準備で根をつめすぎたのか、佐藤の声がギョッとするほどのしゃがれ声で、みんな驚きと心配を隠せない。
それでも本人はいたって元気で、エネルギッシュなリハが始まった。
今回ゲストにお迎えしたSMOOTH ACEは、岡村玄さん、平慎也さん、李眞姫さん、重住ひろこさんの4人編成。
北海道公演から戻ってすぐスタジオに駆けつけてくれたにもかかわらず、全然疲れを感じさせない歌いっぷりだ。
4人4様に手や体を動かし、ビシッと決めてくれる想像以上にパワフルなハーモニーに、胸のすくような気持ちよさを覚えた。
「この曲では、僕、5人目のSMOOTH ACEになるからね」と、佐藤が照れつつジョイントした「Fantasy」(佐藤博ナンバーをSMOOTH用に佐藤がコーラス・アレンジを施し、コラボした)では、
打って変わった柔らかいトーンで佐藤のボーカルに寄り添うSMOOTH。ハーモニーもさることながら、岡村さんと平さんが加わった佐藤とのユニゾンや、眞姫さんと重住さんが加わったオクターブ・ユニゾンも、非常に心地よく響いた。
SMOOTHが参加する曲を一通り丁寧に確認した後、メニューの後ろから通しリハに入る。
ここでちょっとしたトラブル発生。なんと佐藤がいつも使っているRoland A-90というキーボードが、プレイすると勝手にディレイがかかるという今までにない症状を見せ始め、
ほとんど使えない状態になってしまったのだ。休憩時になんとか直そうとするが、そう簡単に直りそうもない。
かといってモタモタしている時間もない。そこで佐藤は頭を切り替え、その日キーボードを弾くことはあきらめて、
各曲ごとの全体の流れを見ることに徹底しようと腹をくくったようだ。
それからは手にいくエネルギーが余ってしまうからか、しゃがれ声にもかかわらず思わず歌に力が入ってしまう。
そんな佐藤の姿を見て、渡嘉敷さん、マイクさん、鳥山さんは「歌はほどほどにね?」と心遣いを見せてくれる。「My Hometown」や「トム・ソーヤの日」では、重住さんがメイン・メロを歌ってくれている。そんなみなさんの優しさに支えられて、
なんとか無事全体リハーサルを終えることができたのでした。
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